子供の身長が大人になったとき、どれくらいになるかは遺伝的要因が大きな割合を占めています。遺伝的要因に加え、栄養や運動、睡眠などの要素に影響されて最終的な身長が決まるのです。ところが、子供の背がどこまで伸びるかを正確に予測する方法はまだ確立されてはいません。

とはいうものの、我が子の身長が同年齢の子供より低いときには、いったい何歳くらいまで我が子の身長は伸びるのだろうか?と気になる親は多いことでしょう。やはり、子供の身長が何才くらいまで伸びていくのか?どれくらいまで伸びるのか?について知りたいものですね。ここでは、子供の身長が何歳頃まで伸びるのかについて主に検討します。

筆者紹介:米澤利幸
島根医科大学(現島根大学医学部)卒業
福岡大学大学院修了(医学博士)
日本精神神経学会認定専門医
赤坂心療クリニック院長

身長が伸びる主要因は?

身長の伸びは、主として脚(大腿骨[太ももの骨]と脛骨[膝から足首までの骨])と背骨(椎骨)が伸びることによって生じます。これに加えて、頭の骨や足部の骨が大きくなることも身長の伸びに影響するのです。

脚の骨は長管骨とよばれる管状の長い骨であり、主に長さの方向(長軸方向)に大きく伸びることによって身長を伸ばします。一方、骨盤の骨や背骨、頭の骨、足部の骨は、全体が膨張するような形で大きくなり、身長の方向への膨張分が身長を伸ばすことになるのです。

しかし、骨盤の骨や頭の骨、足部の骨の成長が身長の伸びに占める割合はわずかであり、身長の伸びは主として脚の骨と背骨が伸びることによって得られると言っていいでしょう。したがって、骨の成長が終わる(成長線[骨端線]が閉鎖する)と身長が伸びなくなるのです。

では、何歳まで骨が成長するのかについては、背骨に関する報告が見当たらないため、以下では脚の骨(ここでは大腿骨と脛骨)の成長から、何歳まで身長が伸びるのかを探っていくことにします。

脚の骨は何歳まで伸びるの?

いったい何歳まで身長が伸びるのか?という質問への答えは簡単ではありません。一般に成長線が閉鎖するのは、日本人の場合、男性で17~18歳、女性で15~16歳としているサイトや書物が多いようです。しかし、その年齢で身長が伸びなくなるという根拠は書かれてはいません。

下記のサイトにも根拠となった科学論文が明示されてはいませんが、参考として上げておきます。『+医療従事者と患者の広場+ ~看護師や作業/理学療法士etcの国家試験/解答速報、病気/怪我の治し方まで+』というサイト(http://comedical.blog23.fc2.com/blog-entry-680.html)によれば、骨が成長しなくなる時期は、大腿骨が20~25歳、脛骨が21~22歳と書かれています。

また、B.BordiniらがPediatrics in Reviewに寄稿した論文の図表(米国のデータ)から、身長の伸びが1年で5mm未満となるのは、男性では19-20歳、女性では17-18歳ということが読み取られます。22歳以降のデータが記載されていないためはっきりとは言えませんが、ほぼ伸びなくなる年齢は米国では男女とも22歳以降になるようです。一方、トロント大学(カナダ)が男性300人と女性270人を調査したところ、男性では19歳までに、女性では16歳までに全ての人の脛骨遠位端の成長線が閉鎖したとしています。

さらに、T.D.Whiteらが著した2012年版の『Human Osteology(人間の骨学)』によると、男性では、大腿骨の成長が停止(成長線の閉鎖)するのは、股関節付近(大腿骨近位端)で22歳、脛骨の膝側(脛骨近位端)は22歳、脛骨の足首側(脛骨遠位端)では20歳となっています。これは、米国人では大腿骨は22歳くらいまでは伸びることを意味しています。先に述べたB.Bordiniらの図表からの類推と一致する結果となっていますね。

全ての骨の成長線が閉鎖することで身長の伸びが止まることになるので、以上の報告から見て、身長の伸びが止まるのは男性では19〜22歳、女性では16〜22歳ということになるでしょうか。

身長の伸びが止まるのには民族により差がある!

2000年以降の研究を調べたデルタ州立大学(ナイジェリア)の報告によれば、膝付近の成長線の閉鎖は、ボスニア人男性で17–20歳、アイルランド人では男性17.2-18.5歳、女性で16.4歳、ナイジェリア人では、男性17.1-18.1歳、女性16.1歳であったとしています。

また、トロント大学(カナダ)の調査では、ヨーロッパ系アメリカ人男性では16歳以前に成長線の閉鎖が認められた人がいなかったのに対し、アフリカ系とメキシコ系のアメリカ人では14歳くらいで成長線が閉鎖した人がいたとしています。

これらの報告から考えると、成長線が閉鎖する年齢すなわち身長の伸びが止まる年齢は、特に男性では民族の差が認められるということです。

身長の伸びが止まるのには個人差がある!

タイフ大学によるサウジアラビアでのレントゲン写真の分析によれば、膝付近の骨での成長線の閉鎖年齢は、男性では16歳頃から、女性では14歳頃から生じる人がおり、成長線の閉鎖年齢は、平均で男性23.6歳、女性21.2歳くらいであったとしています。また、先に述べたトロント大学の調査では、女性では14〜16歳、男性では16〜19歳で脛骨遠位端の成長線が閉鎖したことが観察されています。このように、成長線の閉鎖年齢には個人差もあるのです。

日本人の場合はどうなの?

根拠は明示されていないものの、日本のサイトでは骨端背の閉鎖すなわち身長の伸びが止まるのは、男子で17〜18歳前後、女子で15〜16歳前後くらいと記載されていることが多いことは先に述べたとおりですが、東京女子医大の村田らの報告によれば、日本人の骨の成長はヨーロッパや中国に比べて1-2年早いとしています。つまり、日本人ではヨーロッパ人や中国人よりも1-2年早く成長線が閉鎖する、すなわち身長が伸びなくなる可能性があるということです。

先に紹介した諸外国の成長線の閉鎖が完成して身長が伸びなくなるのは、男性で16〜23.6歳、女性では14〜22歳ということでしたから、村田らの報告に従うと日本人の場合はそれより1〜2歳早い、男性14〜22.6歳、女性12〜21歳ということになるでしょうか。それにしても個人差は想像以上に大きいものですね。

身長がまだ伸びるかどうかを正確に確認するには?

これは方法としては簡単です。成長クリニックや整形外科でレントゲン写真を撮ってもらって、大腿骨や脛骨の成長線が閉鎖していないかどうかを確認してもらうのです。大腿骨や脛骨の成長線が閉鎖していなければ、身長がまだ伸びる可能性があります。

ただ、子供が同年齢の子供の平均身長よりも相当に低い場合以外は、頼んでもレントゲン写真を撮ってもらえない可能性が大きいので注意が必要です。自費診療となってもいいのでと頼み込めば、撮影してもらえるかも知れません。

身長は何歳まで伸びるか?結論!

日本人の場合、最大で男性22〜23歳、女性21歳くらいまでは身長が伸びる可能性があります。しかし、個人差が大きく男性では14〜15歳、女性では12〜13歳くらいで身長の伸びが止まる可能性もあるのです。結局、子供の身長が何歳まで伸びるのか?という質問には男性で14~23歳、女性で12~21歳という非常に幅のある回答しかできないのです。

しかし、男性では14歳以降の、女性では12歳以降の1年間という期間に、子供の身長が伸びなくなってしまったとき、身長の到達予測値の1つである男性([父親の身長+母親の身長+13cm]÷2+2)cm、女性([父親の身長+母親の身長-13cm]÷2+2)cmの近辺に子供の身長が達しているなら、その子の身長の伸びは止まったと考えていいでしょう。身長の到達予測値にまだまだ達していなければ、子供の身長はさらに伸びる可能性はあるのではないでしょうか。ただし、これは私見であり学術的根拠はない点を強調しておきます。

なお、どうしても我が子の身長がまだ伸びるのかどうかを確認したいときは、先に述べたように脚の骨のレトゲン写真を撮ってもらって、成長線が閉鎖していないかどうかを確認してもらうしか方法はありません。そこまですることはないというのであれば、ここで述べた方法で我が子の身長の伸びの可能性を判断してみてはどうでしょうか?