子供の身長を伸ばすサプリメントの1つ「Dr.Senobiru」(ドクターセノビル)について現役医師の方に記事を書いてもらいました。

筆者紹介:米澤利幸
島根医科大学(現島根大学医学部)卒業
福岡大学大学院修了(医学博士)
日本精神神経学会認定専門医
赤坂心療クリニック院長

はじめに

「Dr.Senobiru」という商品名は、子どもの成長、特に「背が伸びる」ことを期待したくなる名前ですね。

「Dr.Senobiru」の販売サイトを見ても、『成長期応援サプリメント』『成長期の伸びる力をサポート』などと記載されています。

では実際に「Dr.Senobiru」に含まれる成分に、子どもの成長を促進したり背を伸ばす効果があるのでしょうか?ここでは、「Dr.Senobiru」の含有成分について検討します。

「Dr.Senobiru」とはどのようなものか?

「Dr.Senobiru」の食品表示法に則った名称は、L-アルギニン含有食品です。

食品の食品表示法上の名称には、その食品の内容を表す一般的な名称、すなわち、誰が見てもそれと分かる社会通念上の一般的な名前を表示しなければなりません。

こういった法的制約からすると、L-アルギニン含有食品と表示されている「Dr.Senobiru」は、アルギニンを補給するための栄養補助食品ということになるでしょう。

それを裏付けるように、「Dr.Senobiru」の販売サイトには、『成長期のお子様に大切な栄養素 それは「アルギニン」でした!!』『「Dr.Senobiru」には、アルギニンを1袋に2500mg濃縮配合しています』というような記載があり、成長ホルモンの分泌を促進するアルギニンが豊富に含まれていることを強調しています。

さらに『アルギニンと相性の良いオルニチン、シトルリンに加え、成長期のお子様をサポートする成分であるα-GPCやボーンペップ、ビタミンB群や50種類以上の栄養成分を含むスピルリナなどをバランス良く配合しています』『元気をサポートする成分として知られるクエン酸も1袋に2100mg配合』と謳っており、「Dr.Senobiru」にはアルギニンだけではなく、子どもの成長に良さそうな成分が沢山含まれている印象です。

「Dr.Senobiru」に含まれている成分は?その効能は?

「Dr.Senobiru」の原材料名は、「エリスリトール・デキストリン・グレープフルーツ果汁末・さとうきび抽出物・L-オルニチン塩酸塩・L-シトルリン・モズク抽出物・スピルリナ末・高麗人参抽出物・コラーゲンペプチド(ブタ由来)・卵黄ペプチド・α-GPC含有食用精製加工油脂末/L-アルギニン・クエン酸・香料・甘味料(カンゾウ・スクラロース)・ビタミンB1・ビタミンB6・ビタミンB2・ビタミンD3・ビタミンB12・(一部に卵黄・大豆・ゼラチンを含む)」となっています。

このうち、子どもの成長や発達に役立つと思われる成分についてのみ解説すると以下のようになります。

なお、「Dr.Senobiru」の含有成分で、成長ホルモンの分泌を促進する作用を有する栄養素には、子どもの成長や発達を促進する効果があると判断してください。

・L-オルニチン塩酸塩
オルニチンはアルギニンと同様、人間でも成長ホルモンを増やすことが報告されています。ポーランド体育アカデミーの研究では、オルニチンとアルギニンの補充で、運動後の成長ホルモンとインスリン様成長因子の血中濃度が増加することが観察されています。
・L-シトルリン
訓練されたアスリートに6gのシトルリン(リンゴ酸塩)を運動前に服用させると、運動で誘発される成長ホルモンの増加が約67%増強するというバレアス諸島大学(スペイン)の報告があります。その一方で、ナント大学病院センター(フランス)の研究では、2~15gのシトルリンの投与では安静時の成長ホルモンを増加させる効果は観察されませんでした。シトルリンを摂取しても、運動しなければ成長ホルモンの増強効果はないということですね。
・スピルリナ末
スピルリナは、必須アミノ酸や稀少な必須の脂肪酸、多くのミネラルとビタミンを含有している単細胞微細藻類です。栄養状態が相当悪い子どもの栄養補給に有用であり、1日10gの摂取で年齢なりの体重や身長に対する体重割合を有意に増加させることが報告(コンゴ大学[コンゴ]の研究)されています。
・高麗人参抽出物
ノーザンブリア大学(イギリス)の文献的考察によれば、健康な人では記憶の正確性・注意作業のスピード・難しい暗算タスクを改善する効果のあることが確認されたとしています。しかし、子どもにも同様の効果があるかについては検証されていないようです。
・コラーゲンペプチド(ブタ由来)
コラーゲンペプチドにはグリシンとアルギニンが含まれています。アルギニンは成長ホルモンの分泌を促進し、グリシンには睡眠の質を改善する効果があるようです(味の素株式会社が専門誌[J Pharmacol Sci.]に投稿した文献的総括)。睡眠の改善は成長ホルモンの分泌を向上させる効果が期待できるでしょう。
・卵黄ペプチド(ボーンペップ)
世明大学校(韓国)の研究では、卵黄プロテインを体重1kgあたり100mgの割合(体重30kgの子どもでなら3g)でラットに投与したところ、有意に骨の成長率が増加したとしています。ただし、人間での効果は不明です。
・α-GPC含有食用精製加工油脂末
パルマ大学(イタリア)の報告では、成長ホルモン放出ホルモンが成長ホルモンを分泌させる反応は、α-GPCと成長ホルモン放出ホルモンの同時投与により高められるとしています。
・L-アルギニン
アルギニンに成長ホルモンの分泌を促進する作用があることは確証されているものの、日本小児内分泌学会は、アルギニンのサプリメントの効果を完全に否定しています。しかし、アルギニンの経口摂取は、子どもの背を伸ばすという報告があるのも事実です。ただ、そういった効果を報告する研究では、1日あたりアルギニン補充量が4g以上となっています。「Dr.Senobiru」のアルギニン含有量が、1袋あたり2500mg(2.5g)も含まれているなら、「Dr.Senobiru」の1日推奨量としている2~4袋でアルギニンが5~10gも補給できることになりますね。
・ビタミンB1
ビタミンB1は、エネルギー代謝ひいては成長や発達および細胞の機能に重要な役割を果たしており(アメリカ国立衛生研究所)、日本人では男女共に10歳前後から不足する傾向があります。
・ビタミンB6
ビタミンB6は、脳の発達や認知機能に影響するとされています。しかし、ビタミンB6は多くの食品に含まれており、不足する可能性は少ないでしょう。
・ビタミンB2
ビタミンB2は成長や発達にも重要であり、欠乏すると成長遅延さえ引き起こすことがあります。男女共に15〜29歳で不足気味になる傾向があるようです。
・ビタミンD3
カルシウムやリンの吸収を促進し、不足すると骨格異常や低身長を引き起こすことがあります。日本人の推奨摂取量2.0~6.0μgに対して、摂取実績は4.4~6.5μgであり、平均的な食生活の子どもがビタミンD不足になることはないでしょう。
・ビタミンB12
厚生労働省のサイトによれば、乳児期のビタミンB12欠乏症で、発育不全や成長遅延が生じる可能性があるようです。しかし、通常はビタミンB12が不足することはなく、不足する可能性があるのは極端に厳格な菜食主義者やそういった人が授乳している乳児、クローン病など吸収障害のある人です。通常の子どもにビタミンB12を食事以外から補給する必要はないと思われます。

なお、子どもの成長にはあまり影響を与えませんが、聞きなれない名前の成分が含まれているので簡単に説明しておきます。

・エリスリトール(三菱ケミカルフーズ株式会社の製品情報より要約)
「Dr.Senobiru」にもっとも多く含まれているエリスリトールは、糖アルコールであり甘味料として使用されます。厚生労働省のエネルギ-評価法によりエネルギ-値が0kcal/gと認められている唯一の糖質です。虫歯の原因になる酸を作らず、血糖値を上昇させることもありません。また、下痢を起こしにくいという特徴もあります。
・デキストリン
デキストリンは食物繊維であるため整腸作用があり、血糖調節効果などを厚生労働省が認めている特定保健用食品です。下痢気味の子どもや血糖が高い子どもには利用価値があるかも知れません。
・クエン酸
クエン酸はよく聞く成分ですが、効能について簡単に紹介しておきます。クエン酸には疲労回復効果があると言われており、実際、大阪市立大学の研究では、レモン果汁から抽出したクエン酸を2700mg摂取させると、ATMTという精神疲労などを測定する方法での成績を有意に改善し、主観的症状をより客観化できるVASという尺度で測定した疲労感や緊張度、退屈度、いらいら感を軽減するという結果が得られています。疲れやすい子どもには有用な成分である可能性はあるでしょう。

「Dr.Senobiru」には成長に役立つ成分が十分量含まれているか?

これまで述べたように、「Dr.Senobiru」には多くの有用な栄養素が含まれているようです。

特にアルギニンは、成長ホルモン分泌試験に使用されていることからも明らかなように、アルギニンに成長ホルモン分泌促進作用があることは間違いのない事実です。

しかし、「Dr.Senobiru」にアルギニンが表示通りの量が含まれているか否かについては、疑念を抱かざるを得ません。

それは、販売サイトに広告されている「アルギニンを1袋に2500mg濃縮配合」「クエン酸も1袋に2100mg配合」という表示にあります。

「Dr.Senobiru」は1袋7g、すなわち7000mgです。アルギニンとクエン酸を合わせると4600mgになってしまいます。

したがって、他の成分量は2400mgです。食品表示法では、原材料名を含有重量の多い順に記載せねばなりません。

ですから、13番目と14番目に記載されているアルギニンとクエン酸よりも、含有量が多いはずのエリストリールからα-GPC含有食用精製加工油脂末までの12成分が、合わせて2400mgしか含まれていないのは論理的にあり得ないことです

また、他の有効成分も、「Dr.Senobiru」にかぎったことではありませんが、成分量が○○mgなどと明示されていない場合には、栄養素として意味ある量が含有されている可能性は低いと考えてよいでしょう。

「Dr.Senobiru」を使用する価値はあるか?

これまで見てきたように「Dr.Senobiru」には、健康や成長に有用な多くの成分が含まれています。

しかし、L-アルギニン含有食品という食品表示法上の名称からも、「Dr.Senobiru」の「売り」はアルギニン含有ということでしょう。

「Dr.Senobiru」に実際にアルギニンが1袋に2500mgも含まれているなら、「Dr.Senobiru」を使用する価値はあると考えます。しかし、先に述べたように、食品表示法の規定を守っているとするならば、「Dr.Senobiru」1袋にアルギニンが2500mgも含まれているとは考えられないのです。

「Dr.Senobiru」を使用したい人は、販売元に、ここで考察した疑問点について問い合わせてみて、納得ある回答が得られた後に使用するか否かを決めるのがいいでしょう。