「元プロスポーツ選手もおすすめする話題の成長期応援サプリ」という触れ込みで販売されている「贅沢のびるんるん」

果たして成長促進効果はあるのでしょうか?

現役の医師が本音で語ります!

筆者紹介:米澤利幸
島根医科大学(現島根大学医学部)卒業
福岡大学大学院修了(医学博士)
日本精神神経学会認定専門医
赤坂心療クリニック院長

はじめに

「贅沢のびるんるん」は、いかにも背が伸びる効果があるような商品名ですね。

この「贅沢のびるんるん」の商品パッケージには「成長期応援食品」と書かれており、食品としての名称は「カルシウム含有食品」となっています。

ただし、「贅沢のびるんるん」は、消費者庁の審査に合格した特定保健用食品でも、食品の機能性について企業が科学的根拠を確証し、その確証に基づいて消費者庁に届け出て、その食品の機能性を表示できる機能性表示食品(届出不要の栄養機能食品とは異なります)でもありません

その為、子どもの「背を伸ばす効果がある!」とは広告できない商品なのです。ところで、この「贅沢のびるんるん」、お値段は30日分で5,480円、1日当たり約183円です。

これは、子どもの背を伸ばしてあげたいと思っているお父さんやお母さんにとっては、高いものとはいえない価格設定だと思われます。

それでも送料も含めると年間7万円を超える商品ですから、「贅沢のびるんるん」を服用して背が伸びるか否かは気になるところです。

ここでは、「贅沢のびるんるん」が子どもの背を伸ばすことが出来るのか?発育に良い影響を与えることができるのか?について考察します。

「贅沢のびるんるん」には、どんな成分が含まれているの?

賞味期限2018年3月となっている「贅沢のびるんるん」の原材料名(成分量の多い順から表示することが義務付けられている)は、

「還元麦芽糖・難消化性デキストリン・ブドウ糖・脱脂ココアパウダー・フラクトオリゴ糖・亜鉛含有酵母・鉄含有酵母/貝カルシウム・ショ糖脂肪酸エステル・香料・ナイアシン・L-アルギニン・甘味料(アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物)・パントテン酸カルシウム・ビタミンD・ビタミンB6・ビタミンB2・ビタミンB1・葉酸・ビタミンB12」

となっています。

これらの成分のうち、子どもの発育に影響すると思われる成分(糖分を除く)は、

「亜鉛含有酵母・鉄含有酵母・貝カルシウム・ナイアシン・L-アルギニン・パントテン酸カルシウム・ビタミンD・ビタミンB6・ビタミンB2・ビタミンB1・葉酸・ビタミンB12」

ということになるでしょう。

「贅沢のびるんるん」に含まれる成分の効能は?その含有量は十分か?

「贅沢のびるんるん」に含まれている成分が子どもの体に及ぼす影響を、含有量が多い順に解説すると以下のようになります。なお、推奨される1日の摂取量は「日本人の食事摂取基準(2015年版)」から3〜29歳の値を、摂取量の実態は「平成27年 国民健康・栄養調査の概要」より1~19歳(男女計)の値を引用しています。

引用した各摂取量は、妊娠や授乳をしていない場合の摂取量としています。

 

亜鉛含有酵母

亜鉛の補充は子どもの背の伸びを促進するという研究が複数あり、アーガーハーン大学(パキスタン)の研究では1日の補給量は10mgでした

もし「贅沢のびるんるん」に使われている亜鉛酵母が、Grow社製ミネラル含有酵母(亜鉛含有量5%)と同等の亜鉛が含まれていると仮定すると、試算方法は省略しますが1日量である「贅沢のびるんるん」0.9gには最大で7.5mgの亜鉛が含まれている可能性があります

この量は、研究報告で有効であったとする10mgに近い量です。

しかし、亜鉛の栄養機能食品の規格基準は3~15mgであることより、「贅沢のびるんるん」に7.5mgも亜鉛が含まれているならば、栄養機能食品として表示が可能となります。

栄養機能食品は、国への届け出や審査なしに販売できるということを考えると、そうしていない「贅沢のびるんるん」には3mg未満しか亜鉛が含まれていない可能性が高いということです。

もっとも3mgでも亜鉛が含まれている“ならば”、「贅沢のびるんるん」には、亜鉛の不足を改善するために使用する価値のある量の亜鉛が、含有されていると言えるでしょう。

 

 

鉄含有酵母

鉄が不足すると神経細胞の発達に障害が生じるとされています。

鉄の1日推奨摂取量は5.0~14.0mgで、平均摂取量は4.2~7.8mgですが、年齢別のデータからは男女ともに思春期の男性や生理が始まっている女性では不足がちとなります。

ところで、「贅沢のびるんるん」0.9gに最大で5.6mgの鉄が含まれている可能性があります。

これは鉄の補充という点では意味のある量と言えるでしょう。

鉄の栄養機能食品の規格基準は4~10mgであり、「贅沢のびるんるん」に鉄が5.6mgも含まれているなら、亜鉛の場合と同様、栄養機能食品として販売できるはずです。

しかし、そうしていないことから「贅沢のびるんるん」の鉄含有量は4mg未満であると思われます。これも亜鉛と同様、「贅沢のびるんるん」に3mgでも鉄が含まれている“ならば”、鉄の補充のために服用する価値がある含有量ですね。

 

 

貝カルシウム

「贅沢のびるんるん」にはカルシウムが80mg含まれていると表示されています。カルシウムの1日摂取推奨量は、性別年齢で異なりますが、550〜1000mgです。一方、男女のカルシウム摂取量は436〜657mgと明らかに摂取量が少ないようです。

最も不足がちな思春期には、1日80mgの補充では間に合いません。飲まないよりは良いという程度でしょうか。ちなみにカルシウムをたくさん摂っても背が伸びる訳ではないので注意してください。

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ナイアシン

ナイアシンの補給が妊娠高血圧腎症に関連する胎児の発育不全を予防できるというノースカロライナ大学(米国)の研究や、肥満児で低下している成長ホルモンを増やすという国立小児保健・人間発達研究所(米国)の研究はあります。

しかし、ナイアシンが不足していない状態の子どもにナイアシンを補充しても、子どもの発達を促進するということはないようです。

また、日本人のナイアシン摂取推奨量は7~16mgNEですが、平均摂取量は7.3~15.1mgNEであり通常はナイアシンが不足することはないでしょう。

当然、普通に食事を摂っていれば、「贅沢のびるんるん」にかぎらず、栄養補助食品やサプリメントでナイアシンを補給する必要はないと思われます。

 

 

L-アルギニン

アルギニンには成長ホルモンの分泌を促進する作用があり、成長ホルモン分泌試験に使用されています。

しかし、日本小児内分泌学会は、アルギニンを代表とする背を伸ばすとして販売されているサプリメントの効果を完全に否定しています。

しかし、アルギニンの経口摂取は、子どもの背を伸ばすことに効果があるとする報告があるのも事実です。

ただし、それらの報告では1日当たりアルギニン補充量が4g以上としています。「贅沢のびるんるん」で原材料としてのアルギニンは12番目に記載されており、アルギニン含有量は最大でも0.075g(≒0.9g÷12)未満です。

つまり、「贅沢のびるんるん」に含まれているアルギニンの量は殆ど意味のない量ということになります。

 

 

パントテン酸カルシウム

パントテン酸はビタミンB類の一種でホルモンの産生にも関与し、動物実験ではパントテン酸を欠乏させると成長停止などが生じるとの報告があります。しかし、パントテン酸は極めて多くの食材に含まれているため、特に欠乏症となることはないと思われます。日本人の実際の1日摂取量は4.00~6.19mgと、1日当たりの推奨摂取量4~7mgをほぼ満たしており、

子どもがサプリメントなどで補給する必要はないでしょう。

 

 

ビタミンD

ビタミンDはカルシウムやリンの吸収を促進して骨を丈夫にする働きがあり、不足すると骨格異常や低身長を引き起こすことがあります。

1日に必要なビタミンDの量は2.5~6μgですが実績で4.4~6.5μg 摂取されており、よほどの偏食でない限りは不足することはないはずです。

 

 

ビタミンB6

ビタミンB6は中枢神経系の発達に必要な栄養素であり、脳の発達や認知機能に影響するとされ、動物実験では学習と記憶に大きな役割を果たしていると推定されています。

しかし、ビタミンB6はパントテン酸カルシウムと同様、多くの食品に含まれており不足することはあまりないと思われます。妊娠中や授乳中の女性では不足していると考えられていますが、通常はサプリメントなどで補充する必要はないでしょう。

 

 

ビタミンB2

ビタミンB2は、皮膚や粘膜の健康を維持することに関係する栄養素です。

それだけではなく成長や発達にも重要であり、欠乏すると神経系の変性変化や貧血、成長遅延を引き起こすことや、ビタミンB2の欠乏や不足は糖尿病や炎症性の腸疾患、慢性アルコール依存症の患者に生じやすいことが分かっています(カリフォルニア大学[米国]のA. ゴザル)。

ビタミンB2の推奨摂取量は0.8〜1.7mg(妊婦や授乳婦は余分に必要)であり、平均摂取量は1.04〜1.42mgとなています。

年齢別に見ると、男女共に15〜29歳で不足気味になる傾向があるようです。1日量の「贅沢のびるんるん」にビタミンB2は、原材料として17番目に多いということから最大で53mg(≒0.9g÷17)含まれている可能性があります。しかし、これだけのビタミンB2が含まれているのであれば、栄養機能食品として販売できるということになります。

繰り返しますが、栄養機能食品は国の認可も申請も必要ないため、亜鉛や鉄と同様、栄養機能食品として販売していないということは、ビタミンB2の栄養機能食品としての基準である最低0.4mgを満たしていないと思われます。

そうであっても「贅沢のびるんるん」に、もしビタミンB2が栄養機能食品としての基準である最低0.4mg近くの量が含まれているのであれば、15〜29歳で不足気味となっている量を補うために意味のある量が含有されていることになります。

ちなみに、日清食品のカップヌードルには、0.22mgしかビタミンB2が含まれていませんが、メーカーの商品紹介サイトには明記されています。カップヌードルは栄養機能食品の基準を満たすビタミンB2を含有していないため、栄養機能食品としての記載ができないのですが、ビタミンB2を0.22mg含んでいるということにはセールス上のメリットがあって表示しているものと思われます。「贅沢のびるんるん」にビタミンB2の明確な含有量の表示がないということは、セールスポイントとして表示できるほどのビタミンB2が含まれていないと考えるのが普通でしょう。

これはあくまで筆者の意見ですので、詳しく知りたい方は販売会社に問い合わせるといいでしょう。

 

 

ビタミンB1

アメリカ国立衛生研究所のサイトには、ビタミンB1は、エネルギー代謝ひいては成長や発達および細胞の機能に重要な役割を果たしていると記載されています。日本人のビタミンB1の1日推奨摂取量は0.5〜1.5mgですが実際の平均摂取量は0.57〜1.04mgであり、男女共に10歳前後から不足気味になる可能性があるようです。「贅沢のびるんるん」のビタミンB1に関する考察は上記のビタミンB2と全く同じですので省略します。

 

 

葉酸

葉酸は、たんぱく質やDNAなどの合成に関与して、赤血球の形成や胎児の発育に重要な役割を演じています。厚生労働省の『「統合医療」情報発信サイト』には、「葉酸塩摂取量が不十分な女性では、神経管閉鎖障害(NTD)の乳児を出産するリスクが高まる」「母親の葉酸塩摂取量不足は、低出生体重児、早産、胎児発育遅延とも関連している」などと記載されています。

国民健康・栄養調査結果では日本人の平均した葉酸の摂取状況は十分な量であることから、通常の食生活では摂取不足による欠乏の心配はほとんどありません。葉酸が不足する可能性のある人とは、妊婦や吸収不良をきたす疾患のある人、アルコール依存症の人などです。このような状況にない子どもが、葉酸を食事以外から補充する必要はないと考えられます。

 

 

ビタミンB12

上記の厚生労働省サイトによれば、「乳児期のビタミンB12欠乏症の徴候には、発育不全、運動障害、成長遅延、巨赤芽球貧血などがある」としています。しかし、極端に厳格な菜食主義者か、そういった人が授乳している乳児、あるいはクローン病など胃腸の特殊な病気である人でなければ、ビタミンB12が不足することはないとされています。よって、ここで例を挙げた特殊な状況にある子ども以外は、ビタミンB12を食事以外から補給する必要はないでしょう。

 

まとめに替えて-「贅沢のびるんるん」を使用する価値はあるか?-

以上、成長や発達に影響を与える可能性のある「贅沢のびるんるん」の含有栄養素について考察してきました。

「贅沢のびるんるん」を含めた栄養補助食品で、平均的な食事摂取を行なっている子どもに補充する価値のあると思われる栄養素は、亜鉛含有酵母・鉄含有酵母・貝カルシウム・L-アルギニン・ビタミンB2・ビタミンB1であると考えられます。

「贅沢のびるんるん」には各栄養素の明確な含有量が表示されていないため、ここで行なった考察はあくまで推測の域を出ないものです

しかし、平成27年4月1日に施行された食品表示法の食品表示基準により、食品表示ラベルの一番最初に表示する商品の名称には、その内容を表す一般的な名称を表示するとされており、誰が見てもそれとわかる社会通念上の一般的な名前を表示する必要があります。

「贅沢のびるんるん」の食品表示基準に準拠する名称は「カルシウム含有食品」です。80mgしか含有されていないカルシウムを「その内容を表す一般的な名称」として表示し、亜鉛や鉄、ビタミンB1、ビタミンB2含有食品とは表示されていない点からも、「贅沢のびるんるん」には十分量の亜鉛や鉄、ビタミンB1、ビタミンB2が含まれていないものと推定されます

そこで結論ですが、「贅沢のびるんるん」はカルシウムの補充にのみ有用と思われ、特に摂取が僅かに足りない子どもに服用させる価値はあるということでしょう

「贅沢のびるんるん」を中等度以上にカルシウムが不足している子どもに服用させても、服用しないよりはマシという程度の効果しか期待できないと思われます。

ちなみに牛乳100mlにカルシウムが約110mg含まれています。

SEIYUのネット販売で明治おいしい牛乳900mlで208円(平成30年5月現在)、つまり100mlで約23円です。

23円で110mgのカルシウムを補給するか、1日当たり約183円の「贅沢のびるんるん」で80mgのカルシウムを補給するかは個人の選択です。

しかし、牛乳アレルギーや牛乳嫌い、魚嫌いの子供には「贅沢のびるんるん」を使用する価値はあるかも知れませんね。